パターンメイキング

メーカーでのバターンメーキングの現状

まずアパレルメーカーの現状をパターンメーキングの視点から見ていきましょう。
既製服のマーチャンダイジングは、プランドコンセプトの下に、一定の準備期間を経て行われますが、その市場環境は厳しく、しかも常に変化しているといえます。

 

今日の消費者の見る目は鋭く、なかには企業の商品企画の専門家にも劣らぬほどのセンスを身につけている消費者もいますよね。
作り手としては、顧客ニーズをつかんで応じるだけでなく、新たなニーズの創出につながる仕掛けとアイデアを用意したプランドとして打ち出していく必要があると思います。そうしなければ、時代に合わなくなり取り残されてしまう気がします。

 

このような時代に、アパレルメーカーの対応方法の傾向をあげていくと、

 

多品種少ロットで対応する

 

経営上、できるだけ型数を少なくして一品番当たりの数量(ロット)を増やすのが望ましいのですが、現状ではその逆で、ますます間口が広がり奧行きの浅い多品種少ロットが普通になっています。従って、売上高を確保するためにはデザイン点数を増やすことになり、パタンナーはそれを消化しようと、 ワンパターン当たりの所用時間を短縮せざるを得ないのが現実です。

 

高度な製作テクニック

 

そのうえ、近頃ではますます高度な製作テクニックがパタンナーに求められるようになっています。 その理由は、商品の差別化・個性化が進みデザインも複雑な形が多くなっていること、さらに全体的に柔らかい素材が好まれる傾向にあり、こうした素材を使った商品はファッション性に富む反面、安定性に欠けるため高度な製作テクニックが要求されるからです。

 

マーケットの動向に対するクイックな対応

 

ファッションも鮮度を要求されることから「生鮮衣料」という言い方さえあります。あらかじめ計画された展示会の商品などとは別枠で、市場の動きに即応して短期間で作って店頭に出すスホット(現物)商品の製作もしなくてはならず、これを広義にはQR (クイックレスポンス)といいます。

 

これらは、ホットアイテムのアレンジ版であったり、ヒットデザインの素材を変えた追加商品であったりするが、それでも、 在り型(ストックパターン)のコピーたけで済むわけではありません。

 

デザインが同じでも生地が違えば、型紙の修正や仕様書の書き直しなどが必要で、それ相応の時間がかかります。
急ぐあまり試作品を作らすに生産するとミスや質の低下が起こるリスクが高まります。
これらのことは、縫製工場においても同様と考えてよい。品質向上か生産性向上か、この間の矛盾をどう調整していくかが、今後のアパレル業界の最重要課題となります。