パタンナー 資質

パタンナーに求められる7つの資質を見極める

アパレルメーカーでは、入社試験において、面接や実技のテストで選考されることがほとんどですが、実際に採用してみると評価通りにいかないことが多いように感じます。

 

別の仕事からパタンナーへの転職希望者や新人採用で難しいのは、パタンナーとしての資質の見極めです。

 

資質とは、その人の性格やものの考え方に基づくものなので、それをつかむのは容易ではありません。
その点パタンナー経験者は、パタンナーとしての資質を実技の面から判断することができますが、仕事経験がない新卒学生の選考では、パタンナーとしての資質の見極めに神経を使います。

 

そこで、これまで多くのパタンナー経験者ににインタビューをした経験を踏まえて、パタンナーに求められる資質を7つの要素に整理してみました。

 

@柔軟な思考

 

これはパタンナーに限らず、社会人として必要な条件のひとつといえます。
ファッションの仕事は、とくに感性による要素が強いので、個人によって受け止め方にも違いがあり、表現上の解釈も答えが1つだけとは限りません。
また、企業内での連携作業でも、必すしも自分の思い通りに事が運ぶとは限りませんよね。

 

大切なのは、常に謙虚な姿勢をもつことです。とくに留意したいのは、技術者にとってプライドは向上の糧(かて)でもあるけれど、実力の伴わない過剰な自信は新しい知識や知恵の吸収の妨げになるということです。

 

いずれの場合にも柔軟な思考が新たな発想の源となり局面の打開につながるといえます。

 

A集中力と持久力

 

パターンメーキングは、ミリ単位で製図の形状を作っていく仕事です。完成した立体としての服をイメージしながら分量や寸法を整え、デザイン的なバランスを模索する思考を集中する作業です。作業中の無駄な長話や、集中力に欠けるパタンナーは、ミスの発生率が高い傾向があります。また、

 

パターンメーキングは短時間の作業ではないので、長い時間続けられる根気、つまり持久力の有無も重要なポイントとなります。

 

B正しい製図の理解カ

 

型紙は、原型を展開・応用し、計算しつくして作った形と線で描かれます。
つまり、型紙の外郭は布を裁断して服の形になるものであり、型紙に引かれた線はミシンで縫い合わせる案内線となる重要なものです。従って、パタンナーの資質として、「正確で緻密」であることが必須となります。

 

パターンメーキングは、原型を平面展開し(切り開き、畳み、移動し、分散する)、応用して立体の服の型紙を作るが、最終的には型紙を作るまでの過程で書かれた線は消され、裁断と縫製に必要な線のみ残されます。つまり、できあがってしまえば、輪郭線(外郭)と案内線しか残りません。しかし、この輪郭線を得るための操作に使われた情報が重要なのであり、この過程で正しい判断を下せるか否かで、パタンナの能力が問われるといえます。

 

C素材や縫製の知識

 

最近の服地は、材質の種類も風合いも多種多様で、同じデザインの服を同じ型紙でカバーできるとは限りません。
素材に対応してパターンに修正し、芯の種類や貼り方、ミシン糸や縫い方、アイロンの使い方まで変えなければならないのです。

 

例えば、収縮する布地の場合のパターン操作や、工業用(量産用)パターンの作成など、総合的な洋裁の知識も必要となります。
また完成したパターンの出来が悪かったとしても、失敗として集積することでパターンメーキングの技術が磨かれていきます。
これらは、普段からの努力と研究心によって身につくものといえます。

 

D感性と表現力

 

これは、デザイナーだけに求められる資質と思われがちですが、そのデザイン感性を型紙に再現するため、造形的な表現能力はパタンナーにも、当然要求されます。
個人の持つ感性は、生まれつきの直感的なものが大きな比率を占めますが、日常の中にある服の美しいラインなど、感動を与えてくれるものへの意識的な観察眼を養うことで、職業的な感性を育てることは十分に可能といえます。

 

E責任感

 

仕事に責任が伴うのは当然のことですが、とりわけパターンメーキングにおいては、「すべて自己責任に帰す」と思って当たるべきだだと思います。感性で成り立つデザインを、論理的に構築するパターンメーキングにおいては、多くの場合、「何故そうするのか」「だから、これでよかった」といった理由や解答が存在します。

 

従って、どうしても自分自身で解答が見つからなければ、先輩に質問してみるとよいと思います。

 

しかし、返ってきた解答が適切であるか否か、採用すべきか否かは自分なりの考えを基に判断すべきです。
忙しい中でアドバイスする側は、必ずしも質問者の仕事の全体に注意を向けているとは限りません。
問われた部分についてのみ答えている可能性もあるからです。
結果が悪くても「誰それの言う通りにやったのに」といった不平は通用しません。
アドバイスに従ったために、他の部分に悪影響を及ぼしてしまうこともよくあることです。それは、そこまで考えが及ばなかった自分自身の未熟さに問題がある、と認識しなければなりません。

 

パタンナーは、常に型紙と、製品に至るまでの全体の因果関係とに、細心の注意を配るべきなのです。

 

F健康な体力

 

パターンメーキングの仕事とは、寸法と量感と形状を計算する一方で、数値に置き換えられないラインの美し
さを追求するものという一面もあります。基本的には、机の上でじっくり考えながら作る、思索的な仕事といえます。

 

とはいえ、他部門と密接な関係をもちながら、過密なスケジュールの中で仕事を進めるため、頻発する用件に対処すべく、たびたび思考を中断せざるを得ないのも事実です。

 

パタンナーがどこまで生産に関わるか、もしくは生産担当がどこまでパタンナーをサポートするか。これは、企業のシステムや人員の配置によるが、はっきりいえるのは、関連事項すべてにわたって掌握する立場にあるのはパタンナーであり、そのパタンナー自身が動かないと前に進まないということです。

 

そしてパタンナーの思考を中断させる用件がどんな些細なことであっても、その都度一つひとつ処理しておかなければ、作業の流れをどこかでせきとめかねません。
これに対処できる機敏な行動力と中腰で長時間集中する気力、それらを支えるのがパタンナーに必須の健康な体力だと思います。